描いてみましたの第3回目です。
前回、板を用意したところまで書きました。
今回から貼り付けの作業ですが、ここが一番たぶん大事なのでゆっくり進みます。
和紙は繊維が長いからなのでしょうね、絵の具を塗ると果てしなくにじみます。
以前、絵の具の紹介をした際に書いたニカワという物を使っても、何も処理をしていない和紙だとにじみます。
それから、日本画を描く和紙は、向こうが透けて見えるくらい薄いのですが(選ぶ和紙によっても違いますが)、隙間も多く、和紙に空いている穴から板の方へ絵の具が逃げてしまう事があります。
と、いう事で、日本画を描く際に欠かせないのが礬水液(←これで「どうさえき」と読みます)です。
本来、礬水液は・・・一般的にはドーサで通用するのでドーサで話を進めていきますが、ドーサはニカワとミョウバンを混合して煮て自分で作らないといけません。
その都度作るのは、腐食を避けるとかそんな理由だと思います。
防腐処理を行ったドーサ液も売っていますが、私は個人的にドーサ液も濁った色をしているので発色を落としていると考えており、違う物で探して行き着いたのが、有限会社絵具屋三吉製 レジンドーサです。
乳白色の液は、和紙をより白くしてくれるので気に入っておりますし、液自体の安定性も凄く良いです。
本来の使い方としては、この原液を同量の水で薄め、フェルトの上に紙を置いてレジンドーサを塗って一度乾かす、それ以後に下書きをして骨描き、という手順なのですが、
私はテストとして「いきなりこの液で和紙を伸ばして板に貼り付ける」を以前やってみたのですが、特に問題なしに描けたので、気軽に日本画を始めたい方におススメする方法として、直貼りを今回やってみます。
本当はこんな事をやったらいけないのですよ、でも自分が楽しみたいから描くのに、こんなところで余計な時間を使いたくないじゃないですか。
これもオリジナルな方法ですが、ドーサ液に直に、パール粉を混ぜてみます。
パール紛は、砂場に手を突っ込んだら皮膚にキラキラした物がくっつく事がありますよね、あれが雲母なんですけど、雲母を細かく粉状にしたものです。
女性が使うラメ、みたいな物だと思ってください。
本来は、和紙を板に貼って乾かした後、地色となる色を全体に塗って下塗りとするのですが、これも面倒なので一気に済ませたいと思っての手順端折りです。
板に、A4サイズに切った「破れにくい障子紙」を置いて、その上に骨描きした和紙を置き、
薄めたレジンドーサとパール紛を混ぜたものを刷毛に含ませ、和紙の中央から端の方へ向け、放射状に和紙を湿らせると同時に撫で付けていきます。
注意ですが、撫で付けると言っても、力強くやると和紙が破れますので、柔らかく、板に添わせる感じで伸ばしていきます。
刷毛は、柔らかめの物で、ホームセンターで安く手に入る物を使いました。
ドーサを入れる器ですが、絵皿を別途用意するのは大変なので、刺身醤油を入れる小皿などを使うと良いと思います。
力加減や刷毛運び、この辺はもう経験による物なので、万一和紙が破れてしまっても挫けずにやり直してみてくださいね。
何度も書いておりますが、今回、日本画の書き方指南ではなくて、あくまでも私が描いてみたのを紹介するだけなので、詳しい図解などは行いません。
一回で上手くいく人も多いと思いますが、何度も何度も貼って上手くなるものです。
はい、和紙をレジンドーサで伸ばしたら、和紙の周囲のみ糊を付けて板に貼ります。
私は、ヤマト株式会社製 ヤマト糊ボトル 2KGを使っていますが、指がベトベトになりますので、手軽に済ませたい方は、水貼りテープを購入されると良いでしょう。
ただ、水貼りテープ、高価なんですよね・・・
ほら、ヤマト糊の黄色いバケツ、カワイイ。笑
和紙を貼った板を乾かすのにも、バケツ、丁度良い。
数時間で、レジンドーサが乾くと思いますが、念の為、この貼った日はもうこのまま放置します。
完全に乾きました。
和紙の周囲のみに糊を付けるので・・・ちょっとここが分かりづらいと思うのですが、周囲のみ折り返して糊を塗って板側にまた戻して貼り付ける感じです。
糊の部分は強く押さえないで、スーッと指を動かしながら押さえる程度で簡単にくっ付くと思います。
一回目は不安だと思いますよ、でも糊の力を信じてみましょう、結構強力に付きます。
和紙の周囲だけ糊付けする事によって、液が乾くと同時に和紙がピンと張っていきます。
太鼓貼りって言うのですけどもね、和紙は周囲の糊の部分だけくっ付いて薄っすら中央は浮いている状態なんです。
どういう状態かと言うと、板をホンの少し湾曲させているのです、薄っぺらい和紙が乾いて縮む力で!
絵を塗り終えた時、板から簡単に外す為の方法なんです。
周囲だけ切って、絵を塗ったところはサッと取ろう、という・・・でも、これがサッと取れないんで、私は破れない障子紙を噛ませたのでした。
これは何回も失敗して得た裏技的な方法です。
はい、今日はここまでです。